藤子・f・不二雄ミュージアムの近所です。
藤子・f・不二雄さんってどんな漫画家だったの?
『ドラえもん』『パーマン』『キテレツ大百科』『エスパー魔美』『21エモン』など、数々の名著を出した以外に有名な漫画はあるの?
そんな疑問にお答えします。
さて、そんな子ども向け作品のイメージが強い藤子・F・不二雄さんですが、大人向けのダークな作品も描かれています。
「SF短編集」。“すこし・ふしぎな”この作品は、短編ながら非常にメッセージ性が強く、中には精神的恐怖を感じる作品もあります。
1968年09月号の小学館『少女コミック』に掲載した「スーパーさん」に始まり、1995年05月10日号の小学館『ビッグコミック』に掲載した「異人アンドロ氏」。
足かけ27年の間に112もの短編集を忙しい通常連載の合間に作りづけたのです。
藤子・F・不二雄の漫画家への道
藤子・F・不二雄と藤子不二雄A共同作品「天空魔」投稿
手先の器用な藤子・F・不二雄さんが反射幻燈器(現在のオーバーヘッドプロジェクタの原型)を製作し、それに使う漫画「天空魔」を二人で描いて、近所の子どもたちに読み聞かせたことをきっかけに、中学から高校にかけては、それぞれ単独で、自作の作品を漫画雑誌「漫画少年」などに投稿。
ただ、藤子・F・不二雄さんの方が、断然、入選率が高かったそうで、一時、藤子不二雄Aさんは、屈辱感と嫉妬状態になりますが、
その後、1人でやるより、2人でやったほうが勉強になるだろうと合作を始めるようになり、藤子不二雄Aさんも、自分が活躍できる場を見つけ、藤子・F・不二雄さんさんが才能を発揮しても、心理的な屈折がなくなったそうで、高校2年生の時には、完全に合作でいくこととなったのです。
伝説のアパート「トキワ荘」赤塚不二夫・石ノ森章太郎も一つ屋根の下
高校卒業直前に手塚治虫さんの自宅を訪問し、手塚さんのオーラに圧倒された、藤子不二雄Aさんと藤子・F・不二雄さん。
そしてついに、憧れの手塚治虫さんとの対面を果たします。
入るか?
と言われて、「トキワ荘」の14号室に、手塚さんの後釜として入ることになったのでした。
ちなみに、お金がなかった二人のために、手塚さんが敷金3万円を肩代わりしてくれたそうで、お二人はその後、6年かけて手塚さんに返済したそうです。
また、机も、手塚さんが残してくれたものをそのまま使われたそうですが、その前に座ると、手塚さんのオーラが乗り移るような気がしたそうで、藤子不二雄Aさんは、いまだにこのテーブルを保管されているのだそうです。
ところで、この「トキワ荘」に二人が入居された時、すでに、寺田ヒロオさんが住んでおり、後に、赤塚不二夫さん、石ノ森章太郎(当時・石森章太郎)さん、鈴木伸一さん、森安なおやさんが入居されるのですが、
当初は、全員仕事がなく、ラーメンが一杯30円だった時代に、そのお金さえもあるかないかという情けない生活だったそうです。
関連記事
赤塚不二夫【バカボンのパパ】の名言 ”これでいいのだ!”で生きる
ただ、みんな同じだったため、昼間からみんなで酒盛りをやったりして、毎日が楽しくてたまらなかったそうで、
藤子不二雄Aさんは、当時を振り返り、
地方から優秀な人が集まって。普通は嫉妬するもんだけど、誰かが売れると嬉しいというか、兄弟みたいな感覚で、嫉妬心とか一切なくて、50歳、60歳になろうがその関係が続いたのが嬉しかったですね。
と、その後も、「トキワ荘」のメンバーとは、ずっと変わらない友情が続いたことを明かされています。
藤子・F・不二雄のSF短編の魅力
掲載誌は20誌で、小学館の「ビックコミック」系が最も多く、次いで朝日ソノラマの「マンガ少年」でも創刊号から全16作が掲載されています。
SF短編は、掲載誌やその中のテーマによって、「少年SF短編」と「異色SF短編」に大別されます。前者が37作で後者が74作です。
リスト上ではSF短編の第一弾は『スーパーさん』(68)ということになっていますが、これは「少女コミック」に掲載された12ページの他愛のないお話であります。
未来を予知したかのような豊かな想像力
ドラえもんなどでもよくある藤子・F・不二雄の未来予知能力。2022年の今でも、それらの予知能力は色褪せることはありません。
古代、現代、近未来、惑星開拓の様々な時代がテーマ
扱っている年代は現代が中心です。
ただ、中には少し文明が発達した近未来もあれば、惑星開拓が当たり前のかなり技術が発展した未来もあります。中にはカンブリア期や古代オリンピアを意識させるような過去も描かれています。
古代から現代までの歴史、科学、生物学、医学、心理学、社会学など、ありとあらゆる年代ジャンルに精通している藤子・F・不二雄さん。
魅力の一つがブラック・ユーモア。
『世にも奇妙な物語』、『笑ゥせぇるすまん』にも似た、背筋がゾッとさせられる大ドン返しや驚きの伏線回収があります。
短いもので10数ページ、長いもので30ページほどの短い物語なのですが、非常に読み応えがあります。
ほっこりさせられる展開
シリアスな展開やブラック・ユーモアがある一方で、ほっこりさせられる展開のストーリーもあります。
藤子・F・不二雄のSF短編集ではうだつが上がらない、平凡、モテない、夢を追う人物などが主人公になることが多いです。
そんな彼らがちょっとしたきっかけや出会い、考え方を変えることで人生を好転させていくお話もあります。
“藤子F不二雄SF短編PERFECT版1巻”>藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版 1巻
収録作品
- スーパーさん
- ミノタウロスの皿
- ぼくのロボット
- カイケツ小池さん
- ボノム=底抜けさん=
- ドジ田ドジ郎の幸運
- じじぬき
- ヒョンヒョロ
- 自分会議
- わが子・スーパーマン
- 気楽に殺ろうよ
- アチタが見える
- 換身
- 劇画・オバQ
- イヤなイヤなイヤな奴
本格的な最初のSF短編と呼べるのが『ミノタウロスの皿』(69)ですね。
大人になった21エモンと思しき主人公が、宇宙で遭難して辿りついた星。
そこはウシが支配者で人間は家畜として飼育されていた。
典型的な価値観逆転系の本格SFといった作品
「ミノタウロスの皿」は、食べられるものと食べるものの立場が逆転した惑星が舞台。
ひょんなことから謎の惑星に不時着した主人公。
その星では人間が食べられる側で家畜として飼われ、牛が食べるものとして人間を飼っています。
牛に食べられることに喜びと栄誉を感じる絶世の美女・ミノア。
必死に食い止めようとする主人公とミノアや周囲の牛たちとで生まれる認識のズレ。
「地球では食べられないの?」、「ただ死ぬだけなんて… なんのために生まれてきたのか、わからないじゃない。」、「ズン類はウスを保護し、住居とエサをあたえ、ウスをその愛情にこたえおいしくなろうとつとめ、」。
普段牛を食べる時には残虐などと考えないのに、立場が逆転した世界で家畜側(この場合は人間)が食べられるとなると残虐と感じる。
まとめ
今回ご紹介した作品以外にも、様々な良作があります。
一つ一つの作品は繋がっていませんが、全作品を読むことで、藤子・F・不二雄先生の聡明な考え方を知ることができます。
機会があれば是非読んでみてください。
関連記事
佐藤二朗の若い頃が暗黒!アドリブや学歴と経歴が面白すぎる!それってアドリブも演技?
ビートたけしの下積み時代前は漫才志望ではなかった!浅草キッド時代
コメント